用語集

プリント基板に関連する用語を、五十音別で分類しています。

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はんだ不良の種類と対策

読み仮名: はんだふりょう / 英語: Soldering Defects

実装した基板が動かないとき、疑う候補の上位に来るのがはんだ不良です。ここでは代表的な4種類——ブリッジ・ボイド・未はんだ・ツームストーン——について、症状の見分け方、原因の切り分け、対策と防止策を1つずつ整理します。

1. ブリッジ(短絡)

症状 — 隣り合う端子やパッドの間が、余分なはんだでつながってしまう不良です。電気的にはショートなので、電源を入れると誤動作や発熱、最悪の場合は部品破損につながります。目視やAOIで見つかりやすい不良ですが、BGAの真下やコネクタの奥で起きると発見が遅れます。

原因の切り分け — はんだの量が多すぎるか、はんだが行き先を失って隣に流れたか、で分けて考えます。前者ならメタルマスクの開口が大きすぎる・印刷時ににじんでいる・マスク裏面の汚れ、後者なら部品の搭載ずれ・パッド設計の間隔不足・フローはんだでの引き離し不良が候補です。特定の部品の特定の端子で繰り返し起きるなら、設計かマスクの問題。場所がばらつくなら、印刷条件やマスク清掃の問題を疑います。

対策 — 見つかったブリッジは、はんだごてと吸い取り線で余分なはんだを除去すれば直せます。ただし細ピッチICでは修正自体がパッド剥がれのリスクを持つため、丁寧な温度管理が要ります。

防止策 — マスク開口の縮小や形状変更ではんだ量を絞る、印刷後の検査(はんだ印刷検査)で量を監視する、細ピッチ部品まわりのレジスト(パッド間の絶縁膜)を確実に残す設計にする、が定石です。

2. ボイド(空洞)

症状 — 固まったはんだの内部に気泡状の空洞が残る不良です。外からは見えず、X線検査で初めて分かります。すぐに動作不良になるとは限りませんが、接合面積が減るため強度と放熱が落ち、温度変化や振動が繰り返される環境で寿命を縮めます。放熱用の大きなパッド(サーマルパッド)やBGAのボール内部で問題になりやすい不良です。

原因の切り分け — 気泡のもとは、フラックスの気化ガスと、材料が吸った湿気です。リフローの予熱でガスが抜け切る前にはんだが固まると、中に閉じ込められます。特定パッドに集中するならパッド設計(大面積・ビア直上)を、全体に多いならペーストの状態(古い・撹拌不足)や予熱条件を、湿気なら部品と基板の保管状態を疑います。

対策 — 出来てしまったボイドは部分修正ができず、リワーク(付け直し)でやり直すしかありません。だからこそ、次の防止策側に手を打ちます。

防止策 — 予熱区間を十分に取った温度プロファイルにする、吸湿しやすい部品はベーキング(乾燥処理)してから実装する、大面積パッドはマスク開口を分割してガスの逃げ道を作る、ビア直上パッドを避ける設計にする、が効きます。

3. 未はんだ・はんだ不足

症状 — 端子とパッドがはんだで接合されていない、または量が足りず接合が痩せている不良です。始めから導通しないなら発見は早いのですが、厄介なのは「触れているだけ」の状態です。検査時は導通していて、輸送の振動や温度変化で後から断線する、いちばん追いかけにくい故障になります。

原因の切り分け — はんだが「置かれなかった」のか「弾かれた」のかを分けます。置かれなかったなら印刷抜け(マスク開口の目詰まり)や部品の浮き、弾かれたならパッドや端子の酸化・汚れによる濡れ性不足、加熱不足で溶けきらなかった可能性を見ます。同じ箇所で繰り返すなら目詰まりか設計、古い部品や長期保管基板で多発するなら酸化を疑います。

対策 — 見つかった箇所は手はんだで補修できます。補修時にフラックスを追加すると、濡れ不良の再発を防げます。

防止策 — 印刷後検査ではんだの量を数値で監視する、部品と基板の保管期限・保管環境を管理する、リフローのピーク温度と時間を部品に合わせて確保する、の3点です。

4. ツームストーン(チップ立ち)

症状 — 抵抗やコンデンサなどの小さなチップ部品が、片側の端子だけ接合されて墓石(tombstone)のように立ち上がる不良です。立った側は完全に未接続なので、必ず機能不良になります。見た目が分かりやすく、目視やAOIで発見できます。

原因の切り分け — 部品の両端ではんだが溶けるタイミングや量に差が出ると、先に溶けた側の表面張力が部品を引き起こします。片側のパッドだけ大きな銅箔につながっていて熱が逃げる(溶けるのが遅れる)、両端の印刷量に差がある、搭載位置が片側に寄っている、のどれかが典型です。同じ部品番号で繰り返すなら、まずパッド周りの銅箔パターンの非対称を確認します。

対策 — 立った部品は外して付け直します。部品自体は再利用せず、新品を使うのが安全です。

防止策 — 小型チップの両端パッドは熱のつながり方を対称に設計する(片側だけベタ銅に直結しない)、印刷量を均一に保つ、予熱で基板全体の温度差を縮める、が定石です。設計段階で防げる比率が高い不良です。

不良と付き合うときの考え方

4種類に共通するのは、「実装工程だけの問題」に見えて、実際は設計・部品・材料・条件のどこにでも根があることです。1枚で1回だけ起きたのか、同じ場所で繰り返すのかを記録しておくと、原因の切り分けが一気に速くなります。試作で不良が出たら、直すだけで終わらせず「どの箇所で・何が・何枚中何枚」をメモしてから量産の相談に進むと、実装側との会話が具体的になります。

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監修:プリント基板センターPB 小澤

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